どこにも載ってない手続きのアレコレ 傷病手当金編

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うつ病や適応障害で仕事を休んでいる時、不安になるのはやっぱりお金ですよね。

特に休職中は給料が出ないことが多いため、
貯金がある場合でも日々の生活に関しての不安は
どうしても増してしまいます。

私もうつ病で休職した時に、
一番最初に心配したのはお金のことでした。

その際は会社の上司から傷病手当金という
健康保険の給付金があることを知り、とても安心した記憶があります。

本ページでは病気や怪我で休職した場合、給付を受けることができる傷病手当金の説明と申請方法、注意点を記載しています。

■傷病手当金とは

傷病手当金とは従業員が怪我や病気で労務不能(働けなくなった状態)の際に保険組合から給付を受けることができる手当金になります。

受給の条件としては労務不能の期間が4日以上続いた場合かつ、
医師の所見がもらえる場合に申請が可能です。

インフルエンザや新型コロナ感染症、
怪我やうつ病、適応障害などの精神疾患など
幅広い病気や怪我で受給することができます。

この傷病手当金は労災とは同時に受けることができません。
そのため業務時間外や業務に関わらない
怪我や病気で3日以上働けなくなった際の給与代わりの手当金という位置づけになります。

また、怪我・病気で受給を開始した後、退職した場合は
一定の条件が満たされれば引き続き給付を受けることが可能です。
詳細は下記で説明します。

傷病手当金は失業給付の受給後、及び併用した受給は出来ません。
退職後も受給する場合は要注意しましょう。

この傷病手当金は国民健康保険では支給されません。

また、本制度は被保険者が加入している健康組合の健康保険での制度になりますので、会社における労務不能期間の扱いは有給、欠勤(休職含む)であっても対象になります。
有給の場合は有給で支給された金額は傷病手当金から差し引かれて支給されます。

■手続きの流れ

傷病手当金は在職中とその後退職した際で手続きの流れが変わります。
それぞれの手続きの流れを説明します

・受給方法を担当部署と相談する(在職中のみ)

・申請書を印刷する

・申請書に記入する

・医師に所見を記入してもらう

・会社の担当部署に提出郵送する(在職中)/健康保険組合に郵送する(退職後)

・会社が健康保険組合に申請する(在職中のみ)

・指定した口座もしくは会社経由で傷病手当金が振り込まれる

・申請した期間の支給決定通知を郵送で受け取る

順番に解説していきます。

・受給方法を担当部署と相談する(在職中のみ)

傷病手当金を受給する際に問題になるのが、
「社会保険料の個人負担分をどのように精算するか」になります。

普段は給料から天引きされている社会保険料ですが、
傷病手当金を受給する際は大きく分けて2つの方法があります。

1:傷病手当金を自分自身の口座で全額受給した後会社に社会保険料の個人負担分を振り込む

2:傷病手当金の振込先を会社に指定し、会社に社会保険料の個人負担分を天引きしてもらった後に会社から自身の口座に振り込んでもらう

方法によってその後の申請書の振込先の部分で、
書く内容が変わってくるのであらかじめ確認しておきましょう。

・申請書を印刷する

自分が加入している健康保険組合のホームページから
傷病手当金の申請書をダウンロードして、印刷しましょう。

休職中の場合、会社の担当の部署から
申請書を郵送してもらう場合もあります。

そのため傷病手当金を受給したい場合、
担当部署に以下の通り確認してください。

「傷病手当金を申請したいのですか、
申請書はどこで手に入れればいいですか。郵送はしていただけますか」

・申請書に記入する

申請書には主に3つの記入箇所があります。

 A:被保険者(自分自身)が記入をするところ

 B:会社が記入するところ

 C:医師が所見を記入するところ


A:被保険者(自分自身)が記入するところ では下記を記入します。

 1:被保険者証記号及び番号

 2:氏名、生年月日、住所、勤めてる会社名、仕事の内容

 3:病名、発病した年月日、発病したときの状態、労務不能期間(その申請書での申請期間)

 4:他の手当金受給状況

 5:振込先口座番号 もしくは委任欄

1:被保険者記号及び番号と保険者番号は、
  保険証の左上と左下に記載されています。
  他の手続きでもよく使うことがあるため、
  保険証の表面を写真に撮ってスマートフォンに入れておくと便利。

3:怪我・病気に関する情報については
  健康保険組合の記入例を基に記載しましょう。
  発病した年月日と状態について、精神疾患であいまいな場合は、
  医師に相談し事実に即した内容で記載しましょう。

  労務不能期間は労務不能が開始した日から終了する期間
 (現在も継続して労務不能期間の場合は
  医師の所見での労務不能期間の最終日まで)を記載しましょう。

  初回の申請では待機期間があるため、しっかりと確認しよう。
  詳細は本ページ下部の注意点で記載しています。

5:振込先については会社と相談した形で記入してください。
パターンとしては、
 ①自分の口座を振込先に指定。社会保険料分を会社に支払う、
 ②会社を振込先に指定して社会保険料分を天引きした額を会社から振り込んでもらう
のどちらかになります。
すでに会社で決まっている場合もあるので注意しましょう。
退職後の申請では社会保険料の徴収がないので、
自身の口座を振込先に指定してください。

B:会社が記入するところは、自分自身で書く内容はありません。
申請書を印刷して空欄で会社に提出してください。
また退職後に申請する場合は同様に空白で問題ありません。

C:医師が所見を記入するところでは、通院した際に医師に用紙を渡し記載をしてもらってください。

初診日や労務不能期間、病名など細かい注意点が、
加入している保険組合のホームページ上に記載しています。
確認して、申請書の医師の所見を一緒に記載してもらいましょう。

・会社の担当部署に提出郵送する(在職時)/健康保険組合に郵送する(退職後)

自分自身で記入する成分と医師の所見を記入してもらい終わったら
申請書を会社の担当部署に提出しましょう。
多くは郵送での送付になるかと思います。

その申請書に会社で記載する会社側から見た労務不能期間や支給している給料手当金等の情報を記載してもらいます。

退職後に申請する場合は、この会社の記入欄は空欄のまま健康保険組合の送り先に郵送しましょう。

会社もしくは健康保険組合に送る際は特定記録郵便という、
相手が郵送物を受け取ったかどうかを確認できる送り方があるので、
少しお金がかかりますがそれを利用して届いたことを確実に確認しましょう。

・会社が健康保険組合に申請する

郵送した申請書に会社が会社の記入事項を記入したものを、
健康保険組合に申請してくれます。

自分が会社に申請書を郵送してから、
実際に健康保険組合に到着するまでどのくらい時間がかかるか
については送った際もしくはあらかじめ確認しておきましょう。

実際に受給するまでには健康保険組合に申請書が到着した後、
組合での審査を経て時給額と受給できる日が決定します。
自分自身が申請書を送ってから審査が始まるわけではないので注意しましょう。

自分自身のお金に関わる話ですので、
少しつらいかもしれませんが、
会社に早く健康保険組合に送ってもらえるように
確認・催促しましょう。

・指定した口座もしくは会社経由で傷病手当金が振り込まれる

申請書が健康保険組合に到着した後無事審査が通れば
指定した振込先に傷病手当金が振り込まれます。

健康保険組合によりますが、振込まで大体10〜30営業日かかります。
会社経由の場合、加えて会社での社会保険料の個人負担分の精算の処理が入るため、より受給まで時間がかかります。
あらかじめ、会社経由の場合、振り込みから
どの程度時間が必要なのかを確認しておくと
不安にならずに済むでしょう。

・申請した期間の支給決定通知を郵送で受け取る

申請後、健康保険組合から支給決定通知が葉書で送られてきます。
そこにはその申請の明細が記載されています。
支給金額や減額金額、待機期間、支給対象期間等が記載されているので大切に保管しましょう。

会社で社会保険料を天引きしてもらった後に振り込んでもらう場合、
実際の振込額と記載の支給額に差額が発生します。
その場合は会社に社会保険料の明細をもらうようにしましょう。

以上が主な傷病手当金を受給する際の流れになります。

最初は不安だと思いますので、会社の担当の方や医師に相談して内容に誤りがない状態で確認して手続きを行ってください。

また会社が間違いやすい注意点は下記に記載しますので
こちらもよく読んで確認してみて下さい。

■必読!申請に関わる注意点

・受給額を計算しよう

 傷病手当金でもらうことができる金額は
普段の給料から割り出される
標準報酬月額の2/3 ×給料をもらってない日数になります。
標準報酬月額は健康保険組合ごとに異なり、調べることができます。

交通費や有給休暇その他手当等が支給されている場合は、その分が減額されて総額として約2/3程度になるように支給されます。

また転職直後に関しては実際の給与額から割り出される
標準報酬月額ではなく、
会社が申請した内定時の見込みの給与額を基にした
標準報酬月額になります。

実際の支給額は支給されてみないと分かりませんが、
おおよそどの程度自身が受給できるのかを知るために
調べてみるとお金の不安が軽減されることでしょう。

・待機期間に注意しよう

待機期間とは、傷病手当金の受給を開始する際に
発生する期間になります。
待機期間中は無給であっても傷病手当金の支給対象日にはなりません。

 待機期間は、医者が労務不能と診断してから、
「土日祝日含めて3日となります
社労士でも待機期間を勘違いすることがあるので、
初回の申請時は会社に「労務不能日は〇日~〇日ですよね?」
としっかり確認しましょう。

 もし勤務日を欠勤し、勤務時間以外に病院に行き、
 労務不能の診断が出た際も、その日から労務不能日として
 待機期間が計算されます。

 休日の前日の夜に診断され、休み明けに会社に報告しても、
 診断書の労務不能日から待機期間が計算されます。
 社労士も勘違いしやすいので注意が必要です。

 待機期間は有給休暇で給料を支給されていても対象になります。
 その他細かい条件については、健康保険組合のホームページを確認してください。

・転職後1年以内に退職した場合

転職後1年以内に退職した場合、この傷病手当金を受給する条件を
満たしているか確認する必要があります。

 退職後も傷病手当金を受給するには、
1:健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、
2:退職日に勤務していないこと

を満たす必要があります。このうち1の「健康保険の被保険者期間が通算1年以上あること」は転職前の会社で入っていた健康保険も通算できます。

 前職と現職で健康保険組合が違う場合
前職がIT健保で、現職が全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、
IT健保に問い合わせて健康保険資格証明書(資格喪失証明書)を取得してください。

 前職と現職で健康保険組合が同じ場合:
前職での加入期間を確認されるので、各組合に確認方法を問い合わせてください。

 協会けんぽの場合、前職の在籍企業などを確認する用紙があります(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r124/)

退職後、初めて傷病手当金を申請する際に合わせて送付することで被保険者期間の確認がされます。

 

・既にメンタルクリニックにかかっていた場合の注意点

 その病名で最初に病院にかかった日を初診日にしてもらいましょう。

例:
11月10日にパニック障害で受診。その後休職して傷病手当金受給。
その後、復帰し再度3月10日に受診。うつ病と診断。
労務不能で傷病手当金受給。”

この場合、うつ病の初診日である3月10日を初診日にしないとうつ病での傷病手当金受給可能期間(最大1年6ヶ月)が4ヶ月短くなるので注意しよう。

・転院の時の注意点

 退職後の場合、労務不能期間が1日も途切れないように注意しよう
 (前院〜12/4、新院12/5〜)

 転院後の傷病手当金申請書の自分で記入する初診日の記載欄は、
 受給している病名で前院にかかった初診日を記入しよう

 傷病手当金申請書の4枚目の医師の証明(療養担当者記入用)の初診日は
2枚目と相違があっても問題ありません。
(※協会けんぽの場合。確認したところ労務不能期間が
 継続していることを確認している為、
 問題ないとの回答で、実際にその後問題なく支給されました。)

 転院後の新院で、傷病手当金申請書に記載してもらう。
 病名は前院で申請書を記載してもらった病名と同一にして貰おう

傷病手当金は、病気の治療中働けない間、大体1ヵ月スパンで何回も申請することになります。

氏名や住所、振込先などは同じ内容が多いと思いますので、
その場合は申請書をコピーしてできる限り
毎回書く手間を減らせるようにしましょう。

また傷病手当金は税金の計算に利用される収入に含まれません。
その為、確定申告する際は注意してください。

■最後に

メンタルをやられて休職や治療をしている際どうしても不安になるのはお金ですよね。

特にお給料は生活に必要なまとまった収入になる為、働けなくなった際の不安もより一層大きいです。その為この傷病手当金を利用して治療に専念できるようにしましょう。

またメンタルがやられて、休職中や退職後働けない状態でも
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他のうつ病、適応障害、自律神経失調症になった際の手続きや制度の利用方法についてまとめたページもあるので、あてはまる方はそちらもぜひご覧ください。

休職・退職した時の手続きまとめ

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